生え際や頭頂部が薄くなる原因とは

薄毛に悩む女性

年齢を重ねると共に、多くの女性の方が直面する「薄毛・細毛・抜け毛」
個人差はありますが、40代半ば頃から症状が気になり始め、同時期に白髪も目立ち始めるので、髪や頭皮に対するケアの意識がさらに高まるきっかけのひとつでもあります。

加齢にともなう女性の薄毛の特徴として、生え際から頭頂部・側頭部にかけて広い範囲でハリコシの失われた細く柔らかい髪の毛が多く生えるようになり、これらは「FAGA(女性型男性型脱毛症)」や「びまん性脱毛症」と称されます。(2017年以降、女性が発症する脱毛症すべての症状を指し示す総称として「FPHL=女性型脱毛症」を用いることが多くなりました。これは、女性の薄毛に関して研究が進むにつれて、病態や治療法などにFAGAとは画された概念の変化があったためです。)

女性における生え際の薄毛

女性の薄毛の多くはホルモンバランスの変動に関係しており、更年期を迎え女性ホルモンの分泌が減少することで相対的に男性ホルモンの作用が強まり発症します。生え際から頭頂部を中心とした比較的広い範囲の頭髪が薄くなる症状は、ヘアサイクルが乱れる事で毛髪の成長が遅くなるのに対して、抜け落ちる時期が早まるため表れます。
また、女性ホルモンの分泌量が低下することで、髪質にも変化が表れます。

 

女性ホルモンと髪の関係

女性ホルモンは「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と大きく2種類に分けられます。

【エストロゲン】
頭皮の水分量や血流の保持。髪のハリ・コシ・ツヤに関係。40代半ば位から低下。

【プロゲステロン】
髪の成長期の保持。髪の太さや長さに関係。30代後半位から低下。

女性ホルモンの分泌が減少することで、男性ホルモンである「テストステロン」の影響が出始めます。「テストステロン」は、前頭部や頭頂部に多く存在する「5αリダクターゼⅡ型(還元酵素)」と結合することによって「ジヒドロテストステロン(DHT)」という別性質の男性ホルモンに変換されます。

このDHTが、前頭部や頭頂部の毛包に存在する毛乳頭細胞の「男性ホルモン受容体(レセプター)」に結合する事で脱毛因子(TGF-β)を増やし、毛母細胞の増殖が抑制されることにより髪の成長期が短縮(毛髪の軟毛化)し薄毛につながります。

また、テストステロンは毛包(毛根を包む皮膚組織)の形成にも影響を与えるため、縮れ毛うねりといった「加齢毛」につながります。

男性の場合は前頭部や頭頂部の局所に強い症状が表れますが、女性の多くは生え際や頭頂部をはじめとして頭部の広い範囲で細毛や抜け毛、ハリコシの減少がゆるやかに進行していくのが特徴です。

「5αリダクターゼ」の分泌量や「ホルモン受容体」の感受性遺伝の影響が大きいと言われていますが、女性ホルモンの減少による影響は加齢とともに必ず出てきてしまうものなので、年齢を重ねるごとに「健康的な生活習慣」や「相応のケア」が必須と言えます。

 

血行不良

髪は毛乳頭毛細血管から「栄養=血液」を受け取り、毛母細胞が分裂を繰り返すことで成長します。頭皮全体には、この毛細血管が張り巡らされており、栄養を運んだり老廃物の排出を助けたりしています。

頭頂部は、頭部において筋肉のない領域となるため、毛細血管の流れリンパの流れが著しく低下するため、特に血行不良や老廃物の溜まりやすい状態にあります。

また、生え際毛細血管が比較的少ない部位であるため、その分栄養を補給しにくい部位であると考えられます。

毛根の断面

 

ヘアサイクル

髪には発毛と脱毛を繰り返す一定の周期があります。これを「ヘアサイクル(毛周期)」といいます。

成長期で毛母細胞が分裂と増殖を繰り返し、退行期で毛包の退縮が始まり、休止期を経て脱毛するサイクルです。

しかし、前述のようなことが原因でヘアサイクルが乱れてしまうと成長期は短くなり抜け毛が多くなったり、休止期が長くなることで薄毛へとつながります。また、髪の成長が著しく衰えてしまうことで、細毛ハリコシのない髪を生み出します。

育毛に不可欠な『ヘアサイクル』の仕組み
◆ ヘアサイクルの仕組み 毛髪はある期間の成長後自然に抜け、しばらくすると新しい毛髪が生えてきます。 このサイクルを「ヘアサイクル(毛周期)」といいます。 ■ 成長期…2~6年 毛母細胞が分裂を開始、上へ押し上げるように増殖していきます。 ...

 

育毛には血流促進が最重要

女性における男性ホルモンの量は、男性の10分の1~20分の1と言われており、女性の薄毛に男性ホルモンが関係しているかどうかは不明な部分が多いのも実情ですが、頭皮や毛根部の環境を改善しヘアサイクルを正常化することで、抜け毛や細毛の進行を止めることができます。

髪の栄養はすべて血液から受け取ります。
東洋医学では髪のことを「血余(けつよ)」と表現されますが、身体各所に必要な栄養分が充分に行き渡ったのち、最後に余った栄養分で髪は育ちます。
このことからも、もともと血流の滞りやすい環境にある頭皮において、血行促進は必須と言えます。
この血流を阻害する要因や生活環境を改善しながら、血行の促進を心がけることがヘアサイクルの正常化へとつながります。

 

女性の薄毛は男性に比べて改善する可能性が非常に高いといわれています。
早い時期から育毛を心がけお手入れすることで、健康で若々しい髪をいつまでも維持することにつながります。

 


 

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